
昆虫は苦手……そんな意識を持っている大人も多いのでは? わが子が外遊びから連れ帰ってきた虫かごに思わずのけぞってしまった、なんてことも、主にママのあるあるですよね。でも私たち大人も小さかった頃はアリの行列についていったり、ダンゴムシをつついて丸めたり、草むらをはねるバッタとジャンプしてみたり、目をキラキラさせて虫を追いかけたことを、子どもたちが、そして絵本が思い出させてくれます。
くるっと丸まるのはなんでだろう? 思わずじっと眺めてしまうダンゴムシ、そのひみつを解き明かせる図鑑絵本はページをめくるたびにワクワク!赤い背中に水玉模様が愛らしいその姿に出会えるのは奇跡に近いけれど、実は春の野原には……好きな植物や動きの特徴を知ればたくさんのテントウムシに出会えそう! 捕まえた虫を飼ってみたものの、意外な行動に驚いたりお世話したのに生かすことができなかったり。そうした経験も含めて虫と向き合うすばらしさを伝えてくれるおはなしも、一度は読んでほしい一冊です。
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本を読んだ後に観察してみると、昆虫に表情が見えてくるから不思議。小さいながらも生に満ち溢れた春の昆虫たちに、私たちも力をもらいましょう。
花粉を運び土を耕し、薬や食べ物にもなる昆虫は地球にとってかけがえのない存在。絶滅の危機から守るためにできることは?『昆虫が 世界を すくう!』

■昆虫が 世界を すくう!
作:バグライフ
絵:チュイ・ラン
訳:佐藤 見果夢
出版社: 評論社
出版社からの内容紹介
昆虫のすごいパワーをみなさんは知っていますか? 昆虫は地球にとって、なくてはならない生き物です。昆虫がいないと、草にも木にも花は咲かず、実もみのらず、食べるものが何もなくなってしまいます。花粉をはこぶだけではありません。土をたがやし、不要なものをかたづけ、病原菌がふえるのを防ぎます。人間のために、薬になったり、食べ物になったりもします。絶滅の危険がせまるなか、この小さな働きものたちを守るため、わたしたちに何ができるのか提案します。
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くるっと丸まるのは危険を感じたサイン!身近にいるダンゴムシ、よーく眺めて観察してみよう『育てて、しらべる 日本の生きものずかん(4) ダンゴムシ』オールカラーで読みやすい写真絵本

■育てて、しらべる 日本の生きものずかん(4) ダンゴムシ
監修:布村 昇
写真:佐藤 裕 安東 浩
出版社: 集英社
出版社からの内容紹介
ダンゴムシをつかまえたこと、ある? からだのつくりを見てみよう。きけんを感じると、まるまるよ。見つけ方と飼い方など、専門的な知識をわかりやすく解説。読んでたのしいオールカラー。小学校低学年向き。
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うっかり居眠りをしてしまった『アリのメアリ』、はぐれた姉さんたちに無事に会うことはできるかな?切り絵で描かれた生きものたちが愛らしい

■アリのメアリ
作:いわたまいこ
出版社: BL出版
出版社からの内容紹介
「たいへん!」アリのメアリは、うっかりいねむりをして、ねえさんたちとはぐれてしまいました! メアリは、いろんな生き物たちに「ねえさんたちを、みなかった?」と、たずね歩きますが…。メアリは無事にねえさんたちに会えるのでしょうか? 繊細で美しい切り絵の魅力がいっぱいの、愛らしい絵本。
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アブラムシはテントウムシのごちそうなのです。
テントウムシのおもしろい動きや、
さわってみたときの変化、
アリがテントウムシをおいはらう様子、
テントウムシの卵や幼虫なども、
写真を使って紹介。
春の野原がぐんとおもしろくなる、
自然観察のための写真絵本。
■関連書籍

カブトムシみっけ!
作:里中正紀
徳間書店
虫捕りで出会った『カマキリくん』を家に連れて帰ったこんちゃん。一緒に楽しく遊んだけれど……生きものとのふれ合いから得る学びが描かれた一冊

■カマキリくん
作:タダ サトシ
出版社: こぐま社
出版社からの内容紹介
虫取りに行ったのに、バッタもトンボにも逃げられたこんちゃん。「カマキリくんなら、友だちになれるかな?」と、野原でじっと見つめていると、カマキリくんはそっと近寄ってきたのでした。こんちゃんは、家に連れ帰ったカマキリくんに、紙工作で友だちのカマキリを作ってあげて、一緒に楽しく遊びますが・・・。
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自然がデザインした昆虫の美しい姿を繊細に丁寧に表現したとだ こうしろうさんのロングセラー『昆虫とあそぼう』身近な26種を実物大で紹介

■昆虫とあそぼう
作・絵:とだ こうしろう
出版社: 戸田デザイン研究室
出版社からの内容紹介
カブトムシ、トンボ、バッタ、チョウなど身近に生息する26種の昆虫を、実物の大きさを示しながら丁寧に紹介します。
まず目を奪うのは、繊細なタッチで描かれた昆虫のイラスト。自然がデザインする生きものの素晴らしさを、見事に表現しています。
そして、作者の幼い頃の体験をもとに書かれた文章もとても魅力的です。すべて手描きの文字は、お兄さんの絵日記のよう。子どもたちと一緒に虫とりに行くような目線で、昆虫たちの生態を優しく語りかけます。
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生きものへの思いやりがあふれ、図鑑や写真集とは違った楽しさに満ちた作品になりました。
連載その他の記事
戸田デザイン研究室のデザインの視点で見てみよう『昆虫とあそぼう』 (戸田デザイン研究室)
祝・40年! 戸田デザイン研究室
春きたよ、春きたよ。虫や動物、花たちは川面に浮かぶ『さくらのふね』と旅をする??きくちちきさんが描く自然の生を讃えたまぶしい一冊

■さくらのふね
作:きくち ちき
出版社: 小峰書店
みどころ
はるきたよ はるきたよ
ひらひらと春風に舞う花びらに、最初に気づいたのはテントウムシ。
うれしくなって、川面に浮かぶ桜のふねに乗り、山の仲間たちに春を知らせに行きます。
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はるきたよ はるきたよ
その声に気づいたともだちのハチやチョウたちも、やっぱりうれしくなって。
同じく桜のふねに乗って、てんとうむしに続きます。
ニヤトコやカタクリの花々は、目を細めて虫たちの旅を見守ります。
いいたびに なりますようにーー。
やわらかな風、包み込むような優しい日差し。
虫、鳥、動物、草花、川や風までも、みんな、首を長くして春を待っていたのでしょう。うたい、飛び跳ね、はしゃぎます。時々「よりみつ」なんかもしたりして……!
生きものや自然にとって芽吹き花咲く季節を迎える喜びがどれほどのものか、のびやかに躍動する絵と言葉に感じ入ります。作者はきくちちきさん。紅葉の季節を鮮やかに描いた『もみじのてがみ』に続き、本作も春の自然の生を讃えたまぶしい一冊となりました。
ゆっくりと進んでいく桜のふね。虫たちの目の前に広がる麓の風景は、息をのむ美しさです。雄大な春の山の旅を、生きものたちと一緒に味わってくださいね。
本記事は「絵本ナビ」から転載しております
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